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2006年8月 4日 (金)

ぎんぽう

Ginpou この魚をご存知でしょうか?
知っている人はかなりのマニアか、食通でしょう。この魚はぎんぽうと言いまして、うつぼを小さくしたようななりをしています。ただ、うつぼのような獰猛さはなく、鋭い歯も持っていません。大きさは20センチほどです。
この魚は天婦羅のタネに好まれ、私自身食べたことはないのですが、美味しいと評判です。ここら辺でも水揚げされますが、どちらかと言うと江戸前の魚とでも言うべきでしょうか。
そのぎんぽう(ぎんぽ)、先日鱧に紛れていつの間にか水槽にいました。大きな鱧の中を「こちょこちょ」泳ぎ、たべられはしまいかとハラハラしながら見ていましたが、意外と鱧はおとなしく、仲良く(?)泳いでいました。
しかしぎんぽうにとっての災難は突然訪れました。一人の板前が、鱧の中のぎんぽうを何を思ったかうじゃうじゃアコウのいる本水槽のほうに移したのです。悲劇はあっという間におこりました。
優雅に泳ぐぎんぽうをいきなりアコウが丸呑みです。かろうじて頭だけアコウの口から出ています。アコウも動くと逃げられますし、ぎんぽうもアコウの細かくザラザラした歯にからまれて身動き取れません。アコウにしてみると弱らした後に飲み込む作戦のようです。
見かねたわしがアコウを掬いぎんぽうを救おうとしますが、アコウは逃してなるものかと逃げ回ります。何度か網であこうをおわえ回し、ようやくアコウがぎんぽうを放しました。かわいそうなぎんぽうは水槽のほうには行こうとせず、タモ網のほうに逃げ込むように入ってきました。私は捕まえて安全なアワビの中に入れてやりました。
これで一安心と思ったのもつかの間、その板前は何を思ったかぎんぽうを触っているうちに、再度水槽のほうに逃がしてしまったのです。何匹もいるアコウに狙われて、何度も食いつかれますが、何とか逃げています。私も
「一度は助けてやったんだから、運命と思ってくれ」
とあきらめました。すると自分が逃がしてクセに、その板前が
「罪悪感があります(あたりまえよ)」
と言い出し、今度はぎんぽうを一生懸命掬おうとしていますが、今度はぎんぽうも敵や味方か分からなくなり、網からも逃げ惑っています。
しばらくしてあきらめて、「仕方ない」ということになりました。
一日たってもう食われただろうなと水槽を見ていると、なんと命からがら逃げ延びているぎんぽうの姿が水槽の端のほうに見られました。慌てて板前が掬い、再度アワビの籠の中に。一命を取り留めました。
ぎんぽうにしてみれば一日もてあそばれたようなもので、疲れ果ててぐったりしています。
短い命かもしれませんが(餌がありません)、アワビとしばらくゆっくりしたらいいでしょう。

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