のどぐろ
のどぐろをご存知でしょうか?
正式には赤ムツといわれる魚で、その名の通り喉は真っ黒です。
おまけに腹まで真っ黒で、ちょっとその点はグロテスクです。(「誰やらの腹といっしょ」などと悪口を言うのに好適です)
日本海側では高級魚として、料理屋はもとより、多方面で珍重される高級魚で“白身のトロ”とまで言われています。
私がこの魚を知ったのは料理の本で、金沢や新潟あたりの料亭が出ていると、大抵この“のどぐろ”の料理が出てくるので
「これは絶対に美味しいものに違いない」
と思っていましたが、いかんせん、入手する術もなく、魚に不自由していないのと重なって、現在にいたるまで口にすることはありませんでした。
ところが先日、新潟に嫁いだ当店のお客様が、ふらりときよみずに現われ、食事をして帰られました。
その時に父と
「新潟は何かうまいものあるの?」
というので出てきたのが、のどぐろ、ばい貝、シャケの干物、そして日本酒。
お酒は米どころで、うまいものがたくさんあるのは皆さんご存知のことでしょう。
でもやっぱり気になるのはのどぐろ。
そして、嫁ぎ先がすし屋も経営されているというつてで、やっと送ってもらうことができました。
私は20センチくらいの大きさなのかと思っていたら、届いてみてビックリ。
40センチもあり、結構身も厚く、大きいのです。
しかし瀬戸内では全く馴染みのない顔つき。目もおっきいし!
見たことないものを食べるのって、人間勇気がいるもんですよね。
でも、それをあっさり覆すような脂ののり。
お造りもうまいそうですが、今回は焼いてみました。もちろん塩焼き。
焼くうちに滴り落ちる脂を見ながら
「これはうまいやろ!」
と誰もが思う焼けっぷり。
さすが白身のトロ。
そして待望の試食。
「おいしい!」
日本海側の人たちが騒ぐわけです。
どう表現したら良いでしょうか?
よく似ているのはアマダイ。
これを少しだけ脂を持たせて、さらに身を柔らかくしたような感じです。
なかなか縁のないものをおかげさまで口にすることができました。
これで大きな顔をして
「のどぐろ、食べたことありますよ。おいしいですよね」
と言えます。
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