同じ車海老でも、天然のものを車海老。
養殖されたもので、比較的小さいサイズの海老を才巻海老と呼んでいます。
当店で使う魚介類の中で、昼夜膳通して唯一使っている養殖ものが
才巻海老です。大きさも手ごろにそろい、切れる時期もほとんどなく、価格的にも比較的安定しているのが、重宝する理由です。
もちろん同じ数の天然物がそろうようならば、少々値段が高かろうが、そちらを使うのですが、
瀬戸内海で取れる量など知れたもので、そうはいかないのが現実です。
料理使うで赤い和食の素材はあるようで少なく、しかも美味しいものとくれば海老くらいで、
料理の彩りを付けるの一つにしても、非常に重要視しております。
その海老ですが、おがくずや濡れたシートに挟まれて、ダンボールに入って配達されるのですが、箱には1キロで何匹入りかという数字がはっきり書かれ、中は海老が同じ方向を向いて、整然と並べられているのです。
最近になってそれを見て「ふと」
「これだけ暴れる海老を、よくもこう並べた挙句、きっちり数字を明記できるとは尋常ではない。どのようにしているのだろうと?」
と疑問に思い、さっそく発送元に電話して聞いてみました。
電話に出たのは非常に無愛想なおっちゃん。
ちゃんと松山で料理屋を営んでいる人間だと言うことを説明し、物腰も低く
私「もしもし、少々おうかがいしたことがあるのですが(かなり丁寧に)」
おっちゃん(以下お)「あ、はい・・・(不信がってかなり引き気味)」
私「そちらが出荷している海老って、かなり並んでますよね?」
お「・・・(さらに引いている)」
私「うちでは海老はとっても暴れているのですが、どうして数を数えたり、並べたりすることが可能なのですか?」
お「それはね、・・・」
私「(おっちゃんの言葉をさえぎるようにして)寒いところで作業しているんですか?」
お「知ってるんですか?」
私「いや、知らないから聞いています」
お「そうです。今はそんなに寒くないところで・・・」
私「(さらにおっちゃんの言葉をさえぎるようにして)やっぱり氷点下の部屋なんかで?」
お「そんなことしたら海老が死んでしまいます。今は常温です」
私「常温?」
お「そうです。夏場は15度くらいに冷やした部屋で作業しますが、今は寒い時期なので、そのままでもあまり動きませんよ」
私「そうですか。うちはかなり暴れますがね・・・」
お「出荷する前の海老が入っている水温も下げてますが・・・」
私「やっぱりそんなこともしてたんですか?氷点下ですか?」
お「そんな温度だと海老が死んでしまいます」
私「死ぬんですか!で、何度ですか?」
お「12度くらいですかね」
私「そうですか。ありがとうございました。また電話します」
お「・・・」
とこんなやり取りをしました。
おっちゃんが、店の名前まで名乗っているにもかかわらず、私を不審な人間だと思っているところが気に入りませんが、かなり収穫がありました。
確かに暖かいところでは物凄く暴れ、冷たくすると「ぴくり」とも動かなくなります。
どんな作業風景なのかいつか見てみたいものです。
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