なかなかやります
昼の休憩時間に買い物に行きました。
シャツが欲しいなと思い、こんな感じのものを買おうと何となくは決めて、
しかも、このメーカーでというのもあらかじめ、ほぼ80%は決めていたつもりでした。
もちろん予算も。
近所のデパートの紳士服売り場に上がると、平日の昼中だけあって、
「がら~ん」とまでは言わないものの、かなり人気はありません。
店員さんたちは
「おお、お客さん」
と思ったか
「カモが一匹」
と思ったか。何か用事がなければそんな日時に男1人がデパートには来ないでしょうから、目が違います。
何気なく私を見ては、目をそらし、
つってあるものを物色しようものなら
「さささ・・・」
とよってきて
「いらっしゃいませ!」
と言います。
「どうも、どうも」
とかわしながら、いきなり自分の決めたショップに行くのも
つまらないと思い、その前に違うところを・・・
と遠回りをして、普段行かない奥のほうにいきました。
そこには私が決めている予算よりははるかに高いであろうと思われるショップがたちならび、
笑顔の店員さんたちが、見事に並んでいます。
口では言いませんが
「どうぞ、どうぞ」
と目が誘っています。
一つのお店に吸い込まれるように入ったお店は、好きなメーカーだけどちょっとお高い目のブランド。
ちょっと年配向けかな?なんて思いながら少しだけ物色。
すると店員さんが
「シャツですか?」
と擦り寄ってきます。今度は店の中に入っていますから、かわすこともできず
「そうなんですよ。ちょっとカジュアルな感じで・・・」
といったものの、私の普段着を見て、フォーマルな服を勧める間抜けな店員は居るまいと、1人突っ込みをしながら、
「こんなのどうです?」
などと言う店員さんの勧めるのを見ながら、いろいろ会話をしていきます。
次第に店員さんも私の好みが分かり始め、それっぽいものを並べ始めます。
ちょっとやばくなってきました。早く何とか言ってこの場を去らないと、泥沼だ・・・
と焦りつつも、いいのを出してくるのです。
「ちょっと着られてみます?」
ヤバイ!ついに伝家の宝刀を店員さんに抜かせてしまいました。
こうなったらペースはもちろん相手方。
それでも3着は「あ~だ、こ~だ」といちゃもんを付け(実際に気に入らなかったけど)その場を凌いでいます。
値札を見てみるに、どうも予算より1万円ほどはオーバーしています。
「やっぱり買えないよな・・・」
などと思いながら、ちょっと資金繰りを考えたりし始めている自分に気付き
「これは店員ペースだよ。まさに・・・」
つぶやいてももう遅いんです。
しかも試着室から出てみると、なんと店員が2人に増え、敵方まさに優勢!
2人で相談しながら
「私はこんなイメージですがね。どうかしら?」
などと人のイメージを勝手に作っています。
そして出てしまったのです。ついに・・・
試着した4着目。自分でも大変気に入ったデザインに色。今までのものとは比べ物にならないくらい、自分勝手に
「似合ってる」
と思い込んでしまえる商品。
で、ついに私は目的のショップに辿り着くことなく陥落。
「これ、いただきます」
後の1万はどっから出てくるんだ?などと自問自答しても
小遣いが増えるわけでもなく、でも気に入ったものが手に入る喜びに浸りつつ
「快感だ!」
買い物を楽しむ人が最高の瞬間です。
そして商品を受け取り、その店を後にしながら
「何かを買いにきた人、買おうと思って来ている人に違うものを買わせる事なんて、実は簡単な事なんだろうな。デパートに来た人はほとんどの人が何も買うものを決めていないのに、ついつい買ってしまうという話を聞いた事があるから、買うつもりの人なんて、チョロイんだろうな・・・」
とつぶやきます。
ただ、気がかりなことが一つ。
店員さんに
「お客様、Lサイズでは肩幅がきつそうですね。LLにしませんか?」
と言われ
「そうですか?」
とLLに着替え、店員さんに見せると
「ぴったりですね!やっぱり肩幅や胸板があるから・・・」
太っているとは決して言わないようです。
ついにLサイズが入らなくなってしまった・・・
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