清水焼事情
先週の土曜日から、喫茶コーナーで北村宗善作陶展を開催しています。
清水焼の作家である北村氏は今は少なくなりつつある、染付(青磁の生地にごすと呼ばれる青で柄を書いたもの)のみを手法とする方で、伝統的な清水焼を現在に残す数少ない陶芸家でもあります。
その北村氏と今日お話しする機会があり、その話の中で
なぜ、染付が世の中で少なくなってきたかと言うことを、
板前である私の勝手な想像も含めて分析してみると
- 技術が難しく、習得するのに時間がかかるため、若い者が目指さない。(土の粘土を使う陶器と比べ、磁器は硬く、成形が極めて難しい)
- 原料自体が高価な上に、絵師の費用も必要で、作品自体が非常に高価になる。
- 清廉なイメージと裏腹に、陶器とは違い冷たいイメージがある。
磁器の肌色の白とごすの青の2色だけで色が形成されているので、作品が単調になる。
こんな感じの理由から、需要、供給双方の釣り合いが低い部分で合致しているのではないかと思います。 我々が使うのももちろん磁器物は必要ですが、やはりそればかりでは変わり映えしなく、冷たいイメージを料理に持たせてしまいます。 そういう状況は家庭でも同じかなと思います。 氏がおっしゃるには 「景気がいいときにはやはりたくさん売れて、早く作ってくれと言う話も多かったが、最近は売れないので注文も少なくなりつつある。磁器に限らず陶器の世界も同じで、作れば売れる時代は終わり、生半可な技術を持って世に出ても、認められずに終わることが多い。昔は年に数回個展を開き、何百万円と言った収入を得ていた作家さんもたくさんいたが今では夢物語。そういった厳しい状況から、若い人たちがこの世界に目を向けなくなり、若年層の技術者が少なくなり、新しい力が育ってきていないのも、悪循環だ」 とこう唱えていた。 言われてみれば確かなことで、それは我々料理人の世界でも同じ事が言えます。 景気も悪くなり、今、お店を経営している人たちが、だんだん羽振りが悪くなってくる。 それを見た若い人たちは 「料理人では食っていけない」 そんなイメージを持ってしまう。かと言って技術も持たず、経営力だけを引っさげてお店を始めても、最初は見た目も良く、勢いがあってもなかなか長続きしない。もちろん技術がないのもその一つの原因となっていると思います。 厳しい世界にあり、やはり後進を育てていく事をおざなりにすれば、更なるしっぺ返しを食らうことになる。 今の飲食業、陶器家業、同じような状況に置かれている可能性さえ見える話でした・・・
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