職人技
前菜に棒寿司を桜の葉っぱで包んだ寿司を使っています。
棒寿司を作る手順は巻き簾に魚の身を並べておいて、その上にご飯を棒状にして並べ、巻き簾で巻いて形を整えます。
長さは適当に作れるわけですが、それは魚の切り具合でどうとでもなります。
しかし一応それなりの基準を作っておかないと、仕込む量と言うものが把握できません。
ですから、20センチで10人前で、今日は3本とか言うようになるわけです。
で、今日は寿司を押す係りの人間が4本押しました。
最初寿司を押し始めたころは
「同じ大きさにせんと行かんぞ」
と厳しく教え込まれます。
高さ、幅、シャリのつまり具合。すべてをそろえて当たり前なのです。
彼は寿司を押し始めて2年ほど。毎月献立に棒寿司があるわけではないので、毎日ではありません。
しかしそれでも量的にはかなりやっているほうだとは思います。
その彼が周りの人間にけしかけられて
「はかりで計ってみましょうよ」
となったのです。大抵、そんなにびったり決まるわけもありませんから
「いやあ、やめとくよ」
と言うようなものですが、今日の彼は自信があったらしく
「よし来た!」
と言わんばかりにデジタルのスケールを取り出し、一本ずつはかりに載せます。
するとあたりから
「おおお~~~」
と言う声が!
なんと4本中2本が全く同じ重さ。そして残りの2本も+-2グラム違いだったそうです。
私も内心「すごいな」と思いましたが、そこは素直になれないところ。
「どうやってはかりに細工したの?」
と言うと、彼はテレながら
「うまくやるでしょ?デジタルだから誤魔化しやすいんですよ」
寿司がうまいのか、はかりの細工がうまいのかどちらとも取れる言葉で交されました・・・
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