昆布
日本料理において、絶対に必要なものの一つ、昆布。
私が思うに、鰹節よりもはるかに重要です。
なぜかと言うと、鰹節だけでは絶対に出汁になりえないからです。
一度、沸騰したお湯の中に花鰹だけを入れて、出汁を引いてみてください。
それはそれは気の抜けた、かつおの匂いしかしない、
とんでもないお出汁になります。
それを見てみると「昆布って偉大だ!」と分かっていただけるはずです。
と言うのも、日本料理の出汁をとるにあたって、かつお以外、たとえば煮干であったり、干ししいたけや大豆を使った精進出しにしても、昆布は絶対に入れます。
と言うことはかつおの代用品はあっても、昆布のそれは無いわけなのです。
魚の昆布締めにしてもかなり美味しいものですし、重要な料理になってきます。
当店ではかつおと昆布のだしを、吸い物用のだし、いわゆる“一番だし”と煮焚き物用のお出汁の“追いがつお”とに分けて2種類作っています。
今のところ1番出汁は鉄板で、分量、昆布の産地、かつおの産地、割合等完璧に決まっています。
しかし追いがつおに関しては一応柔軟に対応できるように、さらに美味しさを追及したり、コスト削減を目指したり、出来るようにしています。
その追いがつおに使っていた利尻の昆布が、突然値上げされると乾物屋が言って来たのです。
「本当に値上げされてるの?実はそっちが儲けてるだけなんでしょう?」
なんて嫌味を言いながらも、受け入れる以外ありません。そこのところは大して何にも考えていませんでしたが、
乾物屋さんは気の毒に思ったのでしょう。
数日後うちにやってきて
「これ、宮城県の三陸の昆布なんですが、使ってみてください」
と立派な昆布を持ってきました。
こっちのほうが若干安く出来るとの事でした。
とりあえずいつもどおり追いがつおの出汁を引いてみます。
ところがやっぱり普段と味が違うのです。
特別不味いと言うわけでもないのですが、ピントがずれていると言うか、物足りないと言うか・・・
やはり使い慣れた、味をつけなれた出汁の方が、美味しく感じるようで、出汁を引くのには使えないと言う結論に達しました。
重要な役割を担う昆布。
その大切さを再認識させられる値上げ事件でした。
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