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2008年6月30日 (月)

還暦

父が還暦を迎えました。

知らない間に歳をとるということは、私もそれだけ歳を重ねていると言うこと。

考えてみると、ぞっとします!

父にとっては偶然か必然か、還暦の誕生日に娘が2日目のディナーショーを開いてくれて、仕事を休んでそれを見に行けた事が、何よりのプレゼントであったのではないでしょうか。

本人は

「恥ずかしい」

と言っておりましたが、本音はどうか・・・

私と妻と妹から還暦のお祝いに京都旅行をプレゼントしました。

来月に夫婦で1泊ですが、行く予定になっています。

あくまで我々の自己満足ですが、喜んでくれたらうれしいなと話しております。

2008年6月29日 (日)

ディナーショー

今日、明日とで妹のディナーショーが白水台のグリーンカーメルで行われました。
去年に引き続き、2回目ですが、今年からは2DAYS。
去年うまくいったので、調子に乗ったそうです。
それでもチケットは両日とも完売して、後はショーを成功させるだけでした。
妹はソプラノ歌手なのですが、2年前までイタリアにいて、現在は東京で仕事をしています。
親戚の結婚式で歌を歌ったのをきっかけにして、グリーンカーメルさんから声がかかり、
このようなイベントをさせてもらっています。
昨年も今年も私は見るのが恥ずかしいですから行くのを断っていました。
しかし雰囲気くらいは見ておいてもいいかなと思い、母の誘いもあり、
長男を連れてこっそり覗きに行きました。

着いた時には既に開演していました。幕の横からこっそり入れさせてもらい、端の方で少しだけ
見させてもらいました。
昨年はピアノの伴奏の方だけと2人で来ていましたが、今年はギターの方とで3人での演奏です。
歌に関してはあんまり分かりませんが、楽しそうに歌っていたのが印象的でした。
もう少し聞かせてもらってもよかったのですが、3歳児には4曲くらい聴くのが限界のようで、
ゴゾゴゾして声を出し始めたので、逃げるように帰ってきました。
最後までうまく出来たかどうかは聞いていませんが、明日も無難にこなしてもらって、
来年以降につながる様に出来たらいいなと思っています。

2008年6月28日 (土)

年寄りは苦手らしい!

本日、お弁当の注文がありました。

弁当は作ったものを時間までに盛り込み、さらに包装しないといけないので、ひときわ手のかかる仕事でありますが、

営業時間以外でも収入となるため、うれしくお引き受けして、作らせていただいております。

手がかかるため、たくさんお弁当を作るときは、従業員総出で作業します。

普段は配膳をしているお姉さんや、喫茶店のお姉さんも、弁当を包むのを手伝ってくれたり、

そのほかのできる限りの事をやってくれています。

女将も例外ではなく、真っ先に借り出されています。

ところが、父にしても母にしても、どうにも苦手なものがあるのです。

それは薄いプラスチック製の弁当箱の重なりが分からないのです。

つまり2個重なっていても気付かず、そのまま並べて料理を盛り込もうとするので

「弁当箱足りないよ!」

などと騒ぎ始めるのですが、決まって若い子が出てみて、見てみると、中のひとつが重なっているため足りないのだということが、発覚するのです。

問題なのは何回その失敗をしても、自分が悪いのだと先に自分を疑わないこと。

あくまで先に他人のせいなのです。

もっとも一度くらいは確認しているようなのですが、重なりを発見することも困難なようです。

今日のお弁当は高価なものだったので、弁当箱にさらにそれを入れる紙箱が付きます。

その紙箱の下と蓋とを母が分けていたのですが、どうも数が足りないと思うというのです。

若い子は「持ってきた」といいますから、やっぱりみんな

「ああ、また始まったか・・・」

と思ったに違いありません。

その雰囲気を察知したのか、母は配膳のお姉さんを捕まえて

「確認してみてよ」

と言い、見てもらいました。しかし配膳のお姉さんも

「一個足りないですよね」

と言っています。これで一応、この場に箱が一つ足りないと言う空気が流れて、若い子がしぶしぶ箱を取りにいきました。

料理を盛り終わり、箱に入れていよいよ包装です。

ところが、やっぱり箱入れが終わる段になって

「あれ、一個余るね!おかしいね!」

といつものように始まりました。

(やっぱりか!)

と言う空気が流れ、母も苦し紛れに

「年寄りのする仕事じゃないね」

と半ばすねています。

でも何かが変。

不思議なことに、箱が余ると言っても下のほうだけが、一つだけあまり、蓋はどこにもないのだといいます。

はじめからセットになったて保管しているものですから、そんなはずもありません。

しかしこのころになると時間も迫っていますので、そんなくだらん話に耳を傾けている人もいません。

包装するのに精一杯で、自分の事にみんな必死です。

そして私も弁当箱を包もうとして、持ち上げたその瞬間、驚愕の事実が!!!

なんと弁当箱を下にいれずに、蓋だけしている奴がいたのです。外見からは見た目は一緒です。

だから下だけ余っていて、箱の数はやはり最初は足りなくて、今現在はあっていたのです。

それで母と配膳のお姉さんは息を吹き返し「それ見たことか、あれ見た事か」と始まりましたが、みんなが失笑するだけで、まにうけていませんでした。

もっともその弁当箱に紙箱の蓋だけかぶせたのも、母かお姉さんかもしれませんからね!

(当店はあくまで年長者には厳しい職場です♪)

2008年6月27日 (金)

お疲れかしら・・・

いやあ、恥ずかしい。

それにしても恥ずかしい!

仕事中、白衣のズボンのお尻が破れて、お客様にパンツが見えていました。

「・・・・」

うそです。すみません。

何が恥ずかしいかというと、若い子から、料理酒の注文をお願いされていました。

朝一度頼まれて、それをすっかり忘れていて、たまりかねたのか、もう一度

「明日の朝でもいいんで・・・」

と夕方確認されて、さらにそれでも電話していませんでした。

これはまずいと思い、慌てて思い出した時に

「そうそう、この時しとかないと、また忘れちゃう!」

と電話を手に取り、短縮ダイヤルで酒屋さんに。

うちは料理酒も地酒の普通に飲めるものを使っています。

電話をしてつながり

「はい、○○です。いつもありがとうございます」

と普段どおりの応対。

私も

「お世話になります。きよみずです。注文お願いします」

「はい、どうぞ」

「かつお2ケースお願いします。明日の朝で結構です」

「えええ???」

「はっっ!!!(言ってから気付きました)」

「いやあ、お酒でした。明日で結構です・・・ガチャン(慌てて電話を切りました)」

なにを「ボー」っとしていたのか、酒屋さんに鰹節の注文を入れようとしていたようです。

しかもかつおなんて、ここ数年、自分で頼んだこともないのに・・・

酒屋さんも戸惑いを隠せませんでしたし、誤魔化されもしませんでした。

アホやと思われているだろうな。久しぶりに電話で恥ずかしい思いをしました。

2008年6月26日 (木)

なんだか恐ろしい・・・

昨晩、車で走る用事があり、何となく目的地に向かっておりました。

するとふと目の前に、荷物をたくさん積んで、ぐるぐる巻きに縄で荷が落ちないようにしているトラックがいました。

「何か不思議な荷物だな!」

と思い、凝視してみると、荷物の中身が動いています。

「う~ん?」

分かりません。とっても気になるので、スピードを上げて近寄り、もっと間近で見てみると

「ありゃりゃ???」

なんと生きたニワトリがかごに詰められて、かごが5段に重ねられているのです。

さらにその5段が15列あります。

4トントラックと思われる荷台にびっしりです。

しかもニワトリはかごにギュウギュウ詰めです。

それを見て

「ああ、これが人間が生きていくというものなのだな!」

としみじみ感じてしまいました。

大量に何百匹ものニワトリをおそらく処理場に持っていくか、

とこかに売りに行っているのでしょう。

夜運ぶ理由は、おそらく昼間だと暑く、大量に運ぶと弱ってしまうので、涼しい夜にできるだけ詰め込んで運んでいるのでしょう。

かごのニワトリは動くスペースがないほどです。

トラックの後ろを走っていた私の車に向かって2,3枚の白い羽が飛んできました・・・

2008年6月25日 (水)

ボディーブロー

徐々に効いてきます。

世の中で物価の上昇が話題になり半年ほど。

ジワジワとあがり続ける生活に直結するガソリンや食材。

しかし当店の場合、業態的に食材とは言っても、原価中の魚の占める割合が多く、他のものは少なくて済むため魚さえ値上がりしなければ、それなりに大丈夫と思っておりました。

実際、魚の値段は物価高が反映されているようには思えません。

特に生鮮物の場合。

しかし本当はここがあがってこないと漁業に従事する人の生活は厳しくなる一方のはず。

船を走らすにも、トラックで輸送するにも油が必要ですから・・・

今のところ当店への影響が少ないであろう。

そう思っていたのですが、このところの業者さんへのお支払いの金額を見ていると、そんな悠長な事は言ってられないのかなと思うようになって来ました。

私たちが使う食材で一番高くなったのはてんぷら油。

知らないうちに6割ほど高くなっているものもあります。

そして目立って高くなっているのが、かつおや昆布などの乾物。

理由はよく分かりませんが、それぞれのコストが上がっての値上げなのでしょう。

そして月々のお支払いが、だんだん見た事のないような数字になってきているのです。

たとえば毎月なら、3万円代だった業者さんのお支払いが、知らないうちに5万円台に突入していたり、ギリギリで桁が1つ増えてみたり・・・

こうなってくると

「ああ、いろんなものが高くなってきているんだ・・・」

と実感させられます。

とは言え、我々が値上げをするような業種でもなく、簡単な話ではありません。

物価高に関して言えば、もっともっと厳しくなってきているお店もあるのかなと憂えております。

2008年6月24日 (火)

異常なる伝染

1週間ほど前、若いこの一人が明らかに異常な首の動きをしていました。

動きはまるで昔見たアニメのロボット。首が動かず、呼ぶと

「ぐるりっ」

と体ごと回って返事をします。

「なんやお前、寝違えか?」

と聞くと

「いやあ、違うと思うんですよ。肩というか、首の付け根というか、肩甲骨あたりが痛いんですよ」

なるほど、凝りとか、やはり筋違えとかそんなものかなと思いましたが、一応

「手の小指のほうはしびれない?」

と聞くと

「それはないです」

との事なので、ヘルニアではないようです。

その後3日ほどおかしな動きを見せていた彼は、気付かないうちに普通の動きに戻っていました。ということを今日思い出しました。

思い出した理由は、同じ動きをする人が、再び現れたからです。

当店調理場の“若い者頭”が、今朝来たらいきなりロボットになっていました!

「おお、ウイ~~ン、ウイ~~ン(ロボットの作動音のつもり)やな?寝違え?」

と聞くと

「いやあ、違うと思うんですよ。肩というか、首の付け根というか、肩甲骨あたりが痛いんですよ」

(どこかで聞いたような答えです)

「ちなみに手の小指のほうはしびれない?」

(どこかで聞いたような質問です)

「それはないです」

どうやらヘルニアではないようです。

1週間前と全く同じような受け答え。

結局症状、痛いところなどすべて2人は共通している様で背中を触りあいながら

「ここがいたいんやろ?」

とかいっています。

そんな話を聞いていると、なんとなく私も肩甲骨が痛くなってきて

「ああ、これうつったぞ!」

と勝手に仲間入りしようとしています。

明日になって、私も

「ウイ~~ン、ウイ~~ン」

の動きになっていたら、絶対“きよみず型ウイルス性ロボット症候群”です。

2008年6月23日 (月)

野菜のテイスティング

知り合いに誘われて、松山ではかなり有名な野菜ソムリエのお話を聞きに行ってきました。

野菜ソムリエ自体何をする人なのかということははっきりと知りませんでした。

が、話しているのをお聞きして、選び方、栄養素、食べ合わせ、原種の産地等々、

かなりの知識を持って料理法、選び方、野菜の作り方などのアドバイスをされる方なのだというのを本日初めて理解いたしました。

内容も非常に興味深く、同じ青首大根でも、硬いものとみずみずしいものと、

その両者にそれぞれ適した調理法など、今まで聞いたことなかったような知識をたくさん披露してくれるので、

本当に面白かったです。

講義の中で5種類のトマトの味見をするのですが、外見から見て感じる事、食べた後の感想と言った感じで、

見た情報と食べた後の情報を紙に書いていきます。

いわば利き野菜です。

利き酒とは違い、見た目にも、味にも適当な言葉が浮かんでこず、なかなか難しいです。

味や香りを表現する言葉がないのです。

それでもトマトもこうして食べ比べてみると、普段漠然と

「美味しい」

「すっぱい」

「青臭い」

と言っていたものが、粉っぽさを感じることができたり、りんごのような味をどこか後口で感じたりと、

こんなに品種で違うんだなと感動いたしました。

厄介なのはその後同じようにテイスティングしたバナナ。

これは難しい!

見た目は1種類(1つは赤い皮のバナナでした)を除いては、本当にただのバナナ。

皮は黄色く、実は白く、さらに実がいくつかに分かれているような・・・

これを言葉にしろというのかと暴れたくなるくらい、ただのバナナでした。

ただ、食べると一様に味が違うのですが(当然です)

ただ、その違いを言葉にするのは非常に困難です。

なぜなら、やっぱり全部バナナなんです。

バナナにはそんなにたくさんの味の要素があるわけではないのだと、今日初めて知りました。

他のものをたとえて

「バナナの味がほのかにします」

とか

「バナナの香りを感じます」

となら言えるかもしれませんが、ある意味バナナの味が、色で言うと原色なんじゃないかと思います。

野菜だけに限らず、こうして物事を深く掘り進んで考えてみると、非常に面白いものだと感じ、

研究にのめり込む人の気持ちがほんの少しだけ分かるような気がしました!

2008年6月22日 (日)

計画未遂

長男と妻が2時間ほど漫画の映画を見に行くというので、
私が次男と2人でお留守番をすることになっていました。
次男は現在1歳1ヶ月。
まだ、母親がいなくてはならない年で、私がいてもトイレに行っただけで、
ぐずってしまうほど。
たまに買い物などで子供2人を残して妻が出て行くと、結構「ママ、ママ」で大変。
ですから、前日くらいから
「散歩に行こうか、それとも喫茶店にでもお茶しに行こうか」
とあれこれ考えておりました。心配なのはお天気です。
車は多分、妻の方が使うでしょうから・・・
そして今日、朝起きてみると、あまり天気はよくないものの、雨は降っていません。
いつ降り出すか分からない天気なので、お散歩はまずい。
これは2人でモーニングでも食べに行こうとということにしました。
2人が映画に出て行った後、案の定ぐずっています。
何か気を紛らわさないと、私の方が「ぐずぐず」になれていないものですから、
大変です。
「早く外出しないと!」
とオムツや着替え、おやつなどをあわただしくバッグに詰め込みます。
「あれ!携帯用のお尻拭きが無い!」
思い当たるところを探しますが、私が知っていそうなところにはありません。
数分探している間も次男は私について周り、泣いたり叫んだりしています。
結局普段からそんな手伝いをしていない私はお尻拭きを見つけることができず、
「さっきウンチはしたからもう大丈夫だ」
ということにして、オムツのみを持って出かけることに。
次男に上着を着せて
「さあ出かけよう」
としたその時、なんだか急に次男の体の力が抜け、私の方にもたれかかって来ました。
「あれ、ひょっとして???」
と思い顔を覗き込むと、既にうつろな表情。その瞬間「コトン」と眠りについてしまいました。
「おいおい、ここまで準備しているのに!」
ついに外出は幻となり、次回以降のお預けとなりました。
私はむなしくテレビの番となりました・・・

2008年6月21日 (土)

やけど

昨日あたりから負傷者続出です。

手を切ったものが3名(いずれも軽症)。

1人はちょっと出血が多かったかも?

父が今日鱧にかまれて、負傷。

昨日私は炭火焼の五徳に手が当たって火傷。

手を切るのも痛くて、血が出るからさらに気分も悪いですが、

火傷も嫌なものです。

そのときだけ痛いくらいの軽症ならいいのですが、だんだん「ジンジン」してきて、さらには風が当たっても痛く、風呂に入ると強烈に痛く、朝起きたら水ぶくれって奴が最悪なんです。

こうなる前に私はやけどの薬を塗っています。

この薬がとっても効くんですが、とっても怪しいのです。

お客さんに紹介してもらって買ったものですが、

富山の「なんやら丸」じゃ無いですが、愛媛の田舎のほうで昔から伝わるという火傷の塗り薬というのがあるのです。

名前も覚えていませんが、買ったときに付属で入っていたガーゼにカビが生えていたのを覚えています。

全然売れないんでしょう・・・

もうかれこれ、6年ほど前になると思います。

最初は恐る恐る、一が八かでつけていたのですが、不思議なことにこの薬を塗ると塗った先から真っ黒に変色していくのです。皮膚が!

「なんじゃこりゃ?」

と最初は驚きます。こすっても洗っても落ちない、皮膚に沈着するように黒くなります。

しかし不思議と痛みは消え、水ぶくれにはならず、そのままおさまり、1週間後くらいには沈着した皮膚の色もきれいに落ちてしまうから驚きます。

説明書きにも

「火傷ノ部分ニハケデ薬ヲ塗リマスト、黒クナリマスガ、次第ニ消エマス」

と書いてあります。(何時代やねん!)

今回もしぶしぶこの薬の世話になる事にしました。

案の定真っ黒に皮膚が変色していますが、痛みはありません。

果たしてこれはいったい何からできているのだろう?

まあ、医薬品ではないんでしょうね。多分・・・

2008年6月20日 (金)

ひたひたとかぶる

微妙な調理用語で、しかも意外と分かっていそうで、分かっていないものってあるようです。

たとえばと言われると、すぐには出てこないのですが、

今日調理場で話されていたのは、“ひたひた”と“かぶるくらい”の差です。

この時点で言葉を知らない方に説明しますが、鍋やボールなどに物を入れて、そこに水や出汁等の液体を入れるときの量を示す表現として

「ひたひた位にしといて」

とか

「かぶるくらい入れといて」

と言ったりします。

実際には両者は違うのですが、知らない人からすると、何がどれくらい違うものかと言うのは、言葉を聞いただけでは「ピン」と来ないものなのです。

かくいう私もこの仕事について5年ほどまでは、両者の違いをしっかり理解していませんでした。

と言うのも、今でこそ言えますが、おそらく最初に勤めた職場自体、その言葉の使い方を間違っていたと思います。

ですからよく

「ひたひた、かぶるくらいにしといて」

などと言う指示が出ていたのを覚えているくらいですから、まあ、ごちゃ混ぜだったのでしょう。

今日、うちの若いもの頭が

「これをひたひたまで水入れてみ?」

と言葉を理解しているか、若い子を試しています。

試された子はしっかりと中の素材が水の中に漬かる位、水を入れてしまっていました。

私はそれを見て

「もう、水がもったいないからお止めや!」

とさりげなくアドバイスを送ったのですが、相手にされませんで、結局、鬼の首を取ったかのように、若いもの頭に指摘をされていました。

「ひたひたとは、内容物の頭が均等に出ていないといけないんだ。全部つかると、かぶるになるんだ」

と、うれしそうに説明していました。

その通りなのです。およそ2/3ほどつかっているのがひたひたと思っていただければ間違えないかと思います。

言葉は難しい。誰が思いついたんでしょう、こんな言葉!

2008年6月19日 (木)

マイブーム

当店では焼き物や煮つけなどのアラ料理に使えない魚の骨などを使って“魚のだし”と呼ぶものを作っています。この出汁を用いて、味噌汁や雑炊、たまに吸物を作ったりしています。

使い道はいろいろありますが、使い方さえ間違わなければ、とっても美味しいだしです。

アラの少ない時期にはこのだしが足りずに、お客様の雑炊の出汁の手配に苦労する事もあるのですが、

鱧料理が始まると比較的アラが多く出る魚なので、出汁は十分間に合ってきます。

そこで私が最近凝っているのは、その中の目ぼしいアラを見つけて、自分だけこっそり煮付けにして食べる事なんです!

時期的に言っても今一番美味しいのはカレイのアラ。

さすが煮魚に使うだけはあるなといった味です。

身質は柔らかく、しっとりとほぐれ、そして味の乗りはよく、さらに皮がゼラチンで非常に美味しいと3拍子そろっています。

あと誰も見向きもしないのに美味しいのはアコウの中骨。

この縁側のところに付いた身など脂がしっかり乗っていて、もう最高です。

若い子達は身を取るのが面倒だからか、見向きもしませんので、調理場でこっそり食べています。

いやあ、おそらくお客さんが食べているものより美味しいはずです。

しかし、いかんせん身がない!アラだから当たり前ですが、

カレイの頭はちっちゃいし、アコウの骨はきれいに身が付かないようにおろされているし・・・

もう少し失敗して身をつけてほしいと願うほどです。

それにしても昔は煮つけなど食べたいとも思わなかったのに、美味しいと思って骨をしゃぶるようになるとは・・・

私も間違えなく、歳をとっております・・・

2008年6月18日 (水)

お気の毒・・・

きよみずにはホールサービスのおねえさんがいます。

要はお料理の配膳を担当しております。

その方、年齢は秘密なのですが、今朝から足が痛いといって、板前たちにぼやいておりました。

何でもふくらはぎと、太ももの裏辺りがだるいと言うか、痛いそうなのです。

それを聞いて板前の一人が

「それは歳ですよ。かれいです。かれい」

とおちょくっています。

おねえさんも負けじと

「何いよんよ、失礼な!あんた、かれいって感じで書けるんかね?」

と反撃しています。

その板前が調理場に戻り

「おねえさん、加齢で足が痛いんだって」

といってまわり、その後おねえさんが他の板前に「足が痛い」と言う話をしても、誰からも

「歳でしょ!」

と言われて、気の毒なおねえさん。

実際に歳で足が痛いはずもなく、何らかの理由があるはずですが、結局話がそっちのほうばかりに走っていってしまい、

「アンチエイジングが必要ですね」

とか

「加齢臭って言葉、このあいだ初めて知ったんですよ!」

とか言う会話がそこら中でなされるだけで、

何も解決しませんでした。

私もその会話に入った一人ですが、一言

「ストレッチだけでもされてみては?」

と勧めておきました。

2008年6月17日 (火)

食欲と開発力

ふと新しい料理を思いつく事があります。

誰でも同じかと思うのですが、仕事の途中、遊びの最中、家で「ボー」としている時、

何気なく仕事の事でひらめく時があるかと思います。

私も本当にたまにですが

「ああ、こんなんしてみたら、面白いんじゃなかろか?美味しいはず」

というものを考え付く事があります。

ところが食べるものを扱っているだけに、これを物(料理)するには非常に重要な要素が一つあるのです。

それは作る私が満腹か空腹かということです。

仮に良いものを思いつくとします。

「鱧をゼリーで固めて・・・」

これを若い子に話します。

「おいしそうやろ?」

とここまではいけるのです。しかし

「作ってみようか?」

と一歩踏み込めるようになるには、絶対に空腹でないとできないのです。

理由は定かではありませんが、まず試食する気になれないので、作る気になれない。

さらに人に作ってもらっても一緒。結局は味を見るのは私なわけですから、嫌なものは嫌なのです。

今日も一品新しいものを試してみたかったのですが、晩御飯の賄を食べたところだったので、全く手がつかず、そのままに。

こういう場合、絶対次の日に作ったりする事はないのです。

忘れてしまったり、情熱がなくなってしまうのです。

鉄は熱いうちに・・とはよく言ったものです。

2008年6月16日 (月)

それ本当?

怪しいお話です。

お客様が糖尿病を患っているそうです。

そういえばお酒は大好きだし、夜飲み歩くのも、大好きな方です。

そういう方がほどほどの歳になると、大体その手の疾患が現れてきます。

ところがその人は、薬も飲むことなく、70日間で数値がよくなったといいます。現に痩せられていて、聞くと4キロやせたそうです。

「お酒やめたんですか?」

と聞くと

「飲むものを変えた」

といいます。

「あんまり食べないんですか?」

と聞くと

「食べるものを考えるようにした」

といいます。

しかし聞いてみると私の知識とはかけ離れた話をしているのです。

まずお酒。糖質のないものはOKだといいます。

それはなぜ?と聞いても明確な答えは返って来ません。

とにかく蒸留酒ならいいのだそうです。(私の中ではカロリーになるものはすべてだめだと思っていましたが!)

でも醸造酒でもワインはリトマス試験紙で調べて、アルカリ性のものなら良いそうです。ワインに酸性のものとアルカリ性のものがあるとも思えないのですが、そうだとか・・・

そして食べるもの。

穀物はだめ。でんぷんは糖に変わるからいけないのだそうです。

野菜でも茄子、たまねぎ、白ねぎはだめ。青ねぎはOK。

大根はいいそうです。

そして不思議なのは、油は良いんだそうです。酢も雑穀酢や米酢はだめなのだけど、ワインビネガーは良いそうです。ちなみに醤油もNG。お造りは塩で召し上がります。

そんな不思議な食事療法、誰に教わったのか、何で見たのか!

「えええ?」

という話の連発でした。

以前もっと不思議な治療をしていて、ついに命を落とされた方を知っています。

その方はこのお客さんとは違い、まあ、トンチンカンな事をやっていました。

食事などどうでも良いとか言って、ある水で目を洗ったりしていましたから。確かにそれではね・・・

今日のお客さんはちゃんと元気でいてくれればいいのですが・・・

2008年6月15日 (日)

おやすみ

昨日は先週の振り替え休日をもらい、お休みいたしました。

今日は父の日。

以前ならこの日を自分が何かをしてあげる日であって、

してもらう日ではなかったのですが、今年は上の子が幼稚園に行き始めた事で、父であることを実感することできました。

幼稚園では父の日にわざわざ参観日を作ってくれて、それ用の授業(?なんていうのかな・・・)をしてくれます。

廊下から子供たちが先生の話を聞いたり、歌を歌ったりしているのを真剣に親たちが見つめています。

もちろん視線の先はわが子だけです。

両親以外にもうちも含めてですが、祖父母の姿も目立ちました。

子供たちよりむしろギャラリーのほうがうれしそうに見つめていました。

Photo 2

2008年6月13日 (金)

臭い板前

昨日、某飲食店向け雑誌に特集で

「生にんにく」

というものが出ていました。

そんなもの誰でも知っているよ。と思っていたら、おお間違えでした。

実は私たちが普通に食べているにんにくは、乾燥にんにくなんだそうです。

にんにくはかなりの期間常温で保存が利き、しかも芽が出るにもかなりの期間がかかります。

これは掘り起こしたにんにくを天日で乾かし、カビが生えにくく、そして芽が出ないようにしているのだそうです。

生にんにくとは収穫されてすぐのもので、これだと保存が全くきかず、冷蔵庫でも10日ほどしか持たないのだとか。

しかし風味はよく、辛味もあっておいしい。とそんな記事を見ました。

にんにく好きとしては

「こりゃ食べてみないと!」

と早速八百屋に電話。

すると八百屋さん

「それって新にんにくのことでしょ?

ちょうど今ありますよ。知っているみたいですね、入荷したの!」

とグッドタイミングだったようです。

で持って来てもらった初対面の生にんにく。記事どおり、みずみずしく、表面が柔らかいのが特徴です。

さっそく記事のおすすめのお刺身の薬味にしてみる事に。

すりおろして、醤油に入れて、魚を付けて食べてみます。

これがものすごく辛いです。普通のにんにくとは比べ物になりません。

しかし、とっても後口がよく、美味しいです。

後はぺペロンティーノとホイル焼き。いずれもとっても美味しかったです。

しかし営業中に食べてしまいましたから、従業員からも

「くさいっす」

と苦情。お客様にも臭うんだろうな・・・

でも私の信念があります。

にんにくを食べても臭いのは自分ではなく、他の人。苦痛なのは他の人。身勝手でいい考えでしょ?

2008年6月12日 (木)

すじはうまい!

最近のマイブームです。スジの煮込み。

今までは無理やり、肉じゃがなどにしていた、和牛のブロックを掃除した時に出るスジを

きれいに脂身などをのけます。

これを肉屋の用語では「ひきすじ」というそうです。

このひきスジをゆっくりとコトコト湯がき、さらには味を入れて柔らかく味がしゅむまで焚きます。

入れるものは大根とコンニャク。

これを焚いたスジ煮込みが私の中で流行っています。

非常に美味しい!

特に和牛だからというのもありますが、基本的には美味しい部位なんでしょうね。

先日はフレンチのシェフにワインで煮込むスジ煮込みを教えてもらって、途中まではうまくいっていたのですが、

どうも感覚が和食とは違い、結局作っている途中で、

行き着く先が見当たらず、要は完成形が想像つかないのです。

シチューのようになるのか、シャバシャバな汁っぽいものになるのか・・・

やはり口で教えてもらうだけでなく、食べてみないとさすがに作れないと、少し反省です。

できるにはできて、シチューぽくなったスジ肉の赤ワイン煮込みが完成いたしました。

味はいいですが、目指していたものとは違う料理となりました。

料理もイメージが大事。再確認です・・・

2008年6月11日 (水)

梅酒

今年も梅酒の漬け込みシーズンとなりました。

今年はいただいた梅のみをつけることにしたのですが、それでも数十キロあり、かなり漬けれそう。

毎年どれくらい消費しているのか定かではありませんが、

確実に当店の梅酒のストックは増え続けています。

ちなみに今、昼懐石の食前酒に使っているものは12年物の古酒。

というより、それくらい昔から今までの梅酒が永遠と残っているのです。

さらにはウイスキーで漬けたものや、ブランデーで漬けたへんてこなものを含めると、かなりの量になります。

昨年漬けたものを梅をうちあげ、漉して違うものに移し、その容器に今年の梅を漬けようと思い、

若い子に洗ってもらいました。

昨年のものの味でも見てみようかと、悪い心が働き、コップに氷を入れてロックでいただくことに。

味を見るだけならお猪口に一口でいいものを、コップに氷を入れて、なみなみと注ぐあたりが、ふざけているなと、自分でも思います。

まず香りから。

非常にフルーティーで、梅の香りがよくします。市販されているものとは格段に違い、おいしそうです。

少し氷を溶かし飲んでみます。甘さ控えめで酸味はきついですが、とっても美味です。

一口、二口と飲み進めますが、なぜかアルコールを飲んでいるような感じがしません。

若い子に

「あれ、これ梅酒かな?酔わないよ。ひょっとして梅サワー?」

と聞いてしまいました。

梅サワーとは以前つけた事のある、梅酒と同じように砂糖と梅とそして焼酎の代わりにりんご酢を入れて漬けた、いわば健康飲料みたいなものです。

若い子は臭いだけかいで

「いや、分かりません」

との事。私も全く分からないので、これは酔わないから酢だということに決めて、ごくごく梅サワーなるものを飲み干し、仕事に戻りました。

ところがしばらくして、胃辺りがキリキリと痛くなってきました。

「しまった、酢の取りすぎで、酸で胃をやられたか!」

と一瞬思いましたが、どうやらそうではないようです。

やっぱり梅酒だったのです。調理場のみんなからは

「巧さん、赤くなってますよ」

と笑われ、酢で酔ったとも言えず、恥ずかしい思いをしました。

空腹に飲んだせいもあり、アルコール度数も定かじゃない、闇酒。

終いには頭も痛くなる始末。情けない!

まあ、でも美味しかった!

2008年6月10日 (火)

散髪

結構髪がのびていたので、散髪に行って来ました。

料理する人は清潔感が必要だから、こまめに散髪に。

とは思うのですが、決して嫌いじゃないのですが、行く事がめんどくさくて、行かなくてはと思っていても

「明日にしよう」

という日が続く、情けない人種です。

今回も1週間ほど前から、そろそろだなとは思っていましたが、ズルズル遅れて結局、限界まで引っ張る形になってしまいました。

そこで今日、非常にめずらしい現場に遭遇いたしました。

というのも、となりにいたお客さんが、顔そりの途中で動いてしまったようで、かみそりで切ってしまいました。

切ってしまったと言うか、切られてしまったと言うか・・・

慌てて店員さんも

「っだ、大丈夫ですか?す、すぐに、しょ、消毒液つけますから・・・」

と動揺しています。まじまじ見るのもいけませんが、人のよさそうなおじさんです。

中学時代に聞いた話では、床屋で顔を傷つけられると、散髪代をただにしてくたそうです。

ふとそんな話を思い出す出来事でした。

ここで人のよさそうなおじさんが

「お前このやろう、人の顔傷つけといて、すいませんじゃすまんやろ?」

とかすごんでくれたら、ちょっとした事件だったのですが、チラッと見たそのおじさんは、普通に目をつぶって寝ていました・・・

恐るべし紳士。

っていうか、大丈夫なのかこのおじさん?

歳はおそらく70歳は過ぎているはず。白髪頭で、仕事はしていなさそうな雰囲気です。

顔を切られても嫌な顔一つ見せず寝ているおじさんに私は驚きました。

私なら小心者なので、文句は言いませんが、なんとなく不機嫌になってしまうかもしれません・・・

2008年6月 9日 (月)

骨抜き

小魚の骨を抜いたり、細かいうろこをつまんでのけたりするために使う骨抜きがあります。

形状は一般家庭の毛抜きの20倍ほどの幅があり、長さは倍くらいの、毛抜きのお化けと思っていただければ分かりやすいかと思います。

形はまるっきりおんなじです。

この骨抜きですが、関東型と関西型があります。

他の調理機材でも関東型、関西型に別れているものがいくつかあります。

たとえば卵焼きの銅板。

関東型は正方形。関西型は縦長の長方形です。

包丁でも菜切り包丁は関東は四角。関西は鎌型です。

うなぎ割きなども形が結構違います。

これとおんなじで、骨抜きも違いがあるのですが、不思議なことに当店は京料理の看板を揚げているのに、型は関東型なのです。

特別な理由はありませんが、昔から使っているようで、なんとなくそうなっています。

この骨抜きがあたりはずれがあり、うまく抜けるものはいいのですが、だめなものは全くだめ。

はさんでもはさんでも滑ってしまい、終いには骨を潰してしまったりして、全く抜けなくなったりします。

そのたびに

「いい骨抜きがほしい」

と思うのですが、そんなものを調べる術もありません。

実際、いい骨抜きも使い続けると、先に傷がいき、はさめなくなったり、ピンセット部分のアーチがなくなり力が入りきらなくなり、だめになるものもあります。

忙しい時に骨が抜けないのが、何よりイライラします。

お客さんが来ているのに、御造りの鯵の骨が全く抜けない。

こんな日には絶望感すらあります。さらに抜けにくいと魚に触れている時間も長くなるので、身の痛みも進んでしまいます。

今日はストックしていたさらの骨抜きを卸しました。

前回のものが全く抜けなくなり、あまりにも腹が立ったからです。

しかし今度のものもどうやらはずれじゃないかと言う気がしています・・・

2008年6月 8日 (日)

久しぶりの

日曜日の出勤でした。

普段はお客さんの予約が入っても、私が日曜日に出勤することはほとんどありません。

いつもは父が日曜日の役目で、私は何があっても休んでいる事が多いのです。

ところが今週は予約を聞いてから

「都合が悪いんだけど・・・」

と父から相談を受けました。

どうも夜ご飯の予定が入っていたそうです。

せっかくのお客様ですから、ありがたい話。断るわけにもいけません。

遅めの出勤でも大丈夫ならということで引き受けました。

というのも今週はゴルフの予定が入っていて、帰れるのが夕方になるからです。

幸い予約も7時からと遅く、それでも問題ない時間でありました。

ところがゴルフ場を出る時、店に電話してみると、他にも予約が入って、さらにその予約が6時30分とのこと。

急いで帰らないと間に合わなくなってしまいました。

汚いままでもいけないので、ひとっぷろ浴びて、そのまま店に直行。

もちろん大方の仕込みは若い子達がしてくれています。

おかげさまで、仕込みのほうは問題ありませんが、

お客様が増えた分、サービスのほうが人手が足りず、てんてこ舞いしてしまいました。

私も滅多にすることない、自分で料理を作りながら、給仕をしながらと、大変さを味わい、人の数の力を知りました。

それでもお客様もみんな喜んで帰ってくれたので、何よりでした。

2008年6月 7日 (土)

悲しい包丁

出刃包丁でもいくつかの種類がある事をご存知でしょうか?

単に出刃といっても、魚をさばくものもあれば、決して魚はさばかず、骨ばかりを叩く用の包丁もあります。

また、小魚や長い魚を主にさばく小出刃と呼ばれるかなり小さな出刃包丁もあります。

さらには魚でも大きなものや長いものをきれいにおろすためだけに特化した相出刃と呼ばれる刃幅の短くて、薄い出刃包丁もあります。

和食の板前はこうして包丁を種類ごとに、適した仕事に使い分けているのです。

出刃だけでも3~4種類あり、他の柳刃包丁でも用途に合わせて数種類ありますから、全体で見るとすごい数になってしまいます。

とは言えそこまで包丁を用意して、使い分けるのも包丁の世話のほうが大変なので、いくつかは簡素化して用意しているわけです。

ところで先述の骨を叩く用の出刃ですが、昔から気の毒だと思うのは、硬いものや、刃がこぼれやすいものは決まって使われる包丁なのです。

そのためこの包丁はあんまり刃を付けず、切れないように研いでいます。

もし切れるように研ぐと、刃がたちまちにこぼれてしまい、大変な事になります。

この包丁だけは切れないことが重要なのかもしれません。

私のこの出刃は、京都から帰ってきたときに、うちの店を卒業して独立している方からいただきました。

おそらく

「がんばれよ」

といってくれたわけですが、その出刃が最近わやになっているのです。

一番重要な部分の包丁のカーブがきついところが、何かの拍子にすごく大きく欠けてしまい、さらには鋼自体にヒビが入っているかのように

「すー」

と線があるのです。

案の定一度は荒めの砥石をかけて直したのですが、すぐにその線沿いに欠けてしまいました。

このままではいつまで経っても大きく欠けたままです。

お客さんに見られてもあまりに不細工なので、隠すように仕事をしています。

そのうち研ぎ屋に出そうと思っているのですが、思い立っておりません。

研ぎ屋に出すと容赦なく削ってしまうので、びっくりするくらい包丁が小さくなってしまうのが嫌なのです。

しかしこのままでは使い物にならないし・・・

ここはすまないが包丁には身を削ってもらうしかないか!

2008年6月 6日 (金)

好調好調!

喫茶店のお弁当を喫茶店料理長が作り始めて2週間。

非常に好調をキープしており、本日も売り切れで、数人お断りする事になりました。

彼の場合、自分の持てるものすべてを出し切っている感じで、店にある素材や割烹で使った材料の余分を

「何かに使えないか」

と日々考えているようです。

ですから、従来の料理とは良いも悪いも含めて、非常に手が込んで、丁寧に盛り込んでいます。

前日の夜から仕込みも始め、当日もギリギリまで盛り付けをしています。

今日来ていただいたお客さんも

「すごく美味しくて、感激してしまいました」

と言って喜んで帰ってくれました。

数日前には初めて来たお客さんが、1000円と間違えて、3000円のものを注文してしまったのかと思い、3000円置いて帰ろうとしたそうです。

それを聞いて、彼は非常に喜び、店のみんなに言って歩いておりました。

ただ、手が込んでいるだけに、売れなかった時のショックが大きいようで

「何でやろ、何で売れんのやろ?」

と落ち込んでいます。

そりゃ、1日8食限定とは言え、売れ残る日もありますよね。

まあ、これからの彼の目標は絶対に予約しないと食べれないお弁当を目指していくそうです。

そして決して8食以上は作らないと。

限りなく限定を目指していくのだとか・・・

2008年6月 5日 (木)

有言実行

今日、若い子の一人が先週の日曜日の代休で休んでいます。

昨晩の事、先輩の一人をつかまえて

「今日は潮が良いので、任しといてください。明日のおかずを釣ってきますから」

どうやら彼は、昨晩釣りに行くつもりだったようです。

昨日も意外に遅くなって、おそらく店を出たのは12時を過ぎていたはずです。

それからどこかに行ったのでしょう。

そして、今日出勤してみると調理台に置手紙が。

「おかずのスズキが氷の冷蔵庫に入っています」

なんと本当に仕留めたのだと、色めき立ち、冷蔵庫を空け、獲物を見てみると、そこには立派なスズキが!

重さでいうと2キロ以上。長さは推定50センチ以上。

そう。推定と言うのは悲しいかな板前の性で、釣った魚を綺麗に水洗いした上で、丁寧に頭までのけて片付けているのです!

ですから正確な体の大きさがわからないのです。

残念だと思いますが、おそらく本人は写真ぐらいは取っていることでしょう。

スズキにしては大きいものではありませんが、丸々と肥えて、いい魚でした。

おかげで贅沢なおかずができました!

2008年6月 4日 (水)

ハリセンボン

梅雨に入り、どうにも体調が思わしくないので、

鍼を打ちにいきました。

家の近所の鍼灸院はとっても人気があり、急に予約の電話をしても、空いている事がありません。

しかし私的には昼の仕事の具合もあるし、体がだるいのは日替わりですから、「ここ」という時にだけ行きたいのです。

けれども残念ながら、電話しても、断られてしまうことが多いのです。

ところが今日はたまたま昼の営業が早く終わり、しかもしんどく、鍼灸院に電話してみると、うれしい事に

「今日なら今からいけますよ♪」

とうれしい返事。早速着替えて飛び出していきました。

身体をほぐすベットや超音波をあてて前処理をした後、

鍼と灸の時間です。体中のいたるところに鍼を打ち、体全体の血液の流れを正常化させるそうです。

ところどころで灸を置いていき、電気を流したりもしながら、施術を受けます。

知らない間にウトウトしていい気持ちです。

たまに凝りに鍼があたり

「ズキッ」

とするときもありますが、これは患部に届いている印。

少し我慢をすれば後はすっきりです。

体中に計35本くらいの鍼を打ち込み、10個ほどの灸を置き、

終わったのは1時間30分後。

終わった後は本当に体が軽くなり、楽チンです。

「助かりました」

と言って帰ると

「良かったです」

と院長夫婦が言ってくれ、実に充実した昼休みとなりました。

このまま快調が続けば申し分ないのですが・・・

2008年6月 3日 (火)

私も食べたい!

伊勢海老の天丼が食べたい!

と以前のブログで叫んだ事がありましたが、それもかなわぬまま、何年もの時が流れています。

今日も出てしまいました。贅沢料理!

伊勢海老の鬼殻焼き。

海老類を殻ごと割って焼いたものを総称して「鬼殻焼き」といいますが、

車えびは、鬼殻焼きにして、ウニ焼きにするなど贅沢に焼いた物を食べたことはありますが、伊勢海老はちょっと!

あるお客さんが頼まれまして、2人で2つに割った伊勢海老を片身ずつ。

しかもその大きさが半端じゃない!

本当に大きく、びっしり身が詰まっている。

しかも、みそはたっぷり。見るからに美味しいそう!

おなじみの方なので

「どうですか?」

とお部屋に入り聞いてみると

「これはうまいな!最高や」

と口をそろえて言われます。そりゃあ美味しいでしょ。

何せさっきまで生簀にいたんですから。

さらに私が

「自分は食べた事がないんですよ」

とそのお客さんに言うと

「うそつくなや、息子が?」

といいます。値打ちが分かるだけに、食べれるもんじゃないですよ。やっぱり商売しているほうとしては、自分で食べるのも仕事かもしれませんが、売らないと話にならないですから。

「寂しいですが、本当に食べたことありません」

と答えると

「そりゃ、食べんといかんな。はあはっはっ・・・」

と高笑いをされて至極ご満悦でした。

いやあ、無心で食べてみたいですね!

ナッツの香りのするようなモンラッシェとあわせて・・・

2008年6月 2日 (月)

お献立

さて、はやくも6月です。

梅雨時のあまりいい気候ではありませんが、料理の献立自体は

不思議とすっきりしたというか、さっぱりした、涼やかな料理になりやすいのが、この時期なのです。

もっとも気候がじめじめしていて、人のほうが弱っているから、

この時期の料理は重たくないようなものになっているのかもしれません。

そういう意味ではうまい事できているなと、京料理の奥深さに改めて感心させられます。

お昼の献立で、スズキの筒焼きというのをしています。

魚を骨ごとぶつ切りにする事を

「筒切り」

といいます。小さめのスズキを筒切りにして、串を刺してこんがりと焼き上げます。

皮もしっかり焼かないと、癖があるので、パリッとするくらいはしっかりと焼きます。

骨をつけたまま焼く理由は骨の周りの脂や旨味を身の方に

移行させることが狙い。

そうする事でより美味しくなるのです。

それにしても今の時期のスズキはすごい!

脂も乗り乗りで、極上です!

2008年6月 1日 (日)

久しぶりに

Haruka 私も悠もお気に入りの喫茶店へ遊びに行きました。

悠はまだここを三越だと思っていますが、斜め前くらいになります。

ここで市内電車を眺めるのが、非常に楽しいようです。

前回来た時から1年近く経ちますが、観察していること、言っている事は同じで、全く進歩がありません。

「オレンジの電車が来た」

とか

「白い電車と坊ちゃん列車が交差した」

とかそんなことばかりです。私はのんびりビールを飲んでいたのですが、もう一杯と思ったところで、突然

「もう帰るよ。ママが待っているからね」

と水を差され、あえなく終了。

また次の機会に・・・

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