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2008年7月19日 (土)

後輩

私は高校時代、柔道をしておりました。

3年の時には及ばずながらも主将も務めさせていただき、

全学年あわせても20人にも満たない小さな部を一応取りまとめておりました。

3年の時の春、新入部員がやってくるわけですが、その中に1人、変わった子がいました。

身長160センチ代、体重40キロ後半。顔はニコニコ、緊張感も感じられず、なんとなく猫背気味。形容ではまさに「ひょろっひょろ」です。

(どうしてこんな子が柔道を?)

と真剣に思ったのを覚えていますが、なにぶん弱小部ですから、誰でもウェルカムで、細い子はお断りなどと言うことは一切ありませんでした。

ただ、気になる子だったので、あるとき彼に

「どうして柔道しようと思ったの?」

と聞いた事があります。

私などは高校に入った時点ですでに有段者でしたが、彼などは全くの素人。柔道着に袖を通したこともおそらくなかったはずです。それが・・・

彼曰く

「強くなりたいからです」(かわいいでしょ?)

と言ったような・・・

それからと言うもの顧問の先生から

「お前は大きくならないといけない。これは実験だから!」

と言って一日1リットルの牛乳とプロテインのノルマを課せられ、毎日吐くほどにそれらを飲み、毎日に稽古に励んでおりました。

そんな彼は私と共に過ごした1年間の間で、柔道、身体共に飛躍的に成長することはありませんでした。

私の中で顧問の先生(実は生物の先生でした)の実験は失敗したと思っていました。

大きくなるには栄養ではなく、ポテンシャルだと。

そんな共通の1年間から約14年、突然彼が私の店を訪れてきました。

最初母の話だと、知らない男性が異常にニコニコしながら、玄関から

入ってきて

「森脇先輩お願いします」

と言ったそうです。私は呼ばれて、尋ねてきた人の苗字を聞き、思い当たる人は彼しかいないとすぐに「ピン」と来ました。

そして表に出て、そのたずねてきた男性を見上げた瞬間

「えらい大きくなって!」

これがもっとも端的な表現でした。

身長およそ180センチ、体重は80キロ近くあるそうです。

胸板は厚く、ラガーシャツの下から見える腕は太く、街中で会っても只者でないのは明白です。

「それにしても久しぶりやな、まあこっち座りや」

と再会を懐かしみました。

彼は今でも学生(学者)をしているらしく、今はそれ以外の仕事で収入を得ているそうです。

それが今年の夏からカナダの大学院の試験にパスし、2年を最低期間に留学するそうなのです。

専攻は英米文学。目指しているのは大学での教職だとか。

いろんな話をして、14年の溝を一気に埋めることができましたが、こうして私を慕ってわざわざたずねてきてくれたことが、非常にうれしくて!

これもめぐり合わせの縁かなと思ってしまいました。

2時間近く近況の報告などを交えて、話しましたが、本当に大したものです。

ただ、言いたいのは高校入学時に今の身体を持って柔道部に入部していたなら、どんだけ心強かったことかと悔やまれてなりません。

しごきがいもあったのに!

最後に握手をしながら

「ああ、これが数々の相手を投げつけてきた、手か!」

と私の手を握りながら、言いますが、私の手を握り返す手は私よりはるかに大きな手になっていました!

彼が目指す道で成功を収め、生活できることを何より願わずにはいられませんでした。

今時めずらしい、夢を追いかけている人間なのです!

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