鱚(キス)
魚へんに喜ぶと書いて、キス。
何とも意味深な漢字を考えたものだと思いますが、そんなことはさておき、
江戸前の天ぷらでアナゴやメゴチなどと並んで代表格の中に入っているキスですが、私は正直
(そんなにおいしいものかな?)
と思っておりました。
もっともそんなにアツアツのキスの天ぷらを食したことがあるわけでもなく、自分で釣ってきたキスをから揚げにして
(たいしておいしくない魚だな)
って思った先入観もまた私の意識をむしばんでしまっております。
知識は不思議なもので、なかなか先に入ったものを削除、訂正できません。
脳が先の情報を正確なものと決めてしまうのでしょうか、後からの情報がどうしても入りづらい傾向にあるのは私だけでしょうか?
話はキスに戻ります。
年末ごろからにキスを扱うことがあり、キスは脂がのってくると、内臓にびっしりと脂がつきます。
その傾向がみられたので、年明けにはキスを使おうという話を父としておりました。
そして先月は焼き物にして、今月は天ぷらにしております。
その天ぷらですが、先日アツアツを食べさせてもらったら、こんな美味しい小魚を食べたことがないというくらい美味しいものでした。
あげ方ももちろんですが、キス自体も脂が十分にのったものでした。
揚げ場の子が
「キスはある程度しっかりあげたほうが、ふっくらするんです」
と力説するように「プクッ」と仕上がり、絶品でした。
やはりキスは旬をとらえると天ぷらの良い種であるということを私の脳にインプットさせた次第であります。
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