初めてのお使い
夕方きよみずに妻から電話が入りました。
「長男が店に1人で向かっているから、気にしておいて」
長男は6歳の小学校1年生。
はたして、街中を無事に歩いて来れるものだろうかと、正直心配しておりました。
その電話を聞いてからは外を見たり、外に出たりと気が全く安まりません。
しばらくして、やはり緊張の面持ちで長男が店のドアを開けて
「こんにちは」
と入ってきました。
私もわざとらしく
「おお、1人で来たんか、すごいな!」
というと、手にはぼろぼろに握りつぶした、妻が手書きしたいい加減な地図。
私には「ぱっ」と見で何処がどこなのかさっぱり分かりません。まるで財宝が眠る場所を教える地図みたいなものです。
その時、チラッと外を見ると、なんと妻と次男が中腰で道をこそこそ歩いているではないですか!
どうやらさすがに心配で尾行してきたようです。それを見て一応安心しました。
しかしここからが問題。長男が店に上がりこみ、なかなか帰ろうとしないのです。
そのことを妻に知らせに行くと
「外は暑いし、でも店には入れないし・・・」
長男の自尊心を傷つけるわけにもいきません。
結局私が嘘をつき
「お母さんが電話で早く帰るようにって言って来たよ」
というと、渋々帰る準備を始めました。本当はゆっくり落ち着いてから帰りたかったようです。
その瞬間、また顔がこわばり、うつむいて
「バイバイ」
と言ったきりでした。
そしてその10メートルほど後ろを「こそこそ」2人が尾行して行きました。
まあ、ほほえましいと言うのでしょうか・・・
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