吐いてくれよ!
事件です。
台風でなかなか思うように魚が仕入れられません。
これだけ雨が降り、風が吹いたわけですから、いた仕方ないところ。
しかし、お客さんからはご予約をいただいているわけですから
「魚が無かったんですよ」
というわけにはいけませんし、うちの店に来て
「今日はお刺身は抜きです」
なんてのは論外。
となると、何とかしないといけません。
幸い、台風接近直前に仕入れた魚が若干在庫であり、なんとは予約はしのげそうです。
こんな中、何とか漁師が釣りに出て、たった2匹だけ釣った虎の子の鯵を仕入れることができました。
ところが、水槽に入れてしばらくしてからのこと。
何処からともなく
「鯵が1匹しかおらんけど、どうなってる?」
と言う従業員の声が聞こえ、みんなで水槽を探します。
四隅を丁寧に見渡しますが、影もありません。
(まさか)
と思い、その不安に目をやると、なんとそのまさかでした。
なんと虎の子の鯵の1匹を根に張り付いているアコウというハタ科の魚がひと飲みにしているのです。
その証拠に口から尻尾が出ているじゃないですか!
私が網を持ち
「早く吐け、早く吐け」
と突きますが、全く意に介さない様子。
口の中の鯵もすでに動いていないようなのです。
結局数時間後に大きすぎて食べれなかったようで吐きだしましたが、すでに鯵は絶命。
体半分胃酸でただれていました。
(どうせ食えないんだったら、最初っから食うなよ)
と思いますが、おそらく本能的に食いついてしまったのでしょう。
高い鯵、もしくはアコウになりました。
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