ハップニング
とあるお客様のお話。
その方は接待をされておりました。
食事も大方終わり、2階の座敷から、玄関に下りて、出口でお客様に最後のお土産を渡す係をされていました。
降りて来られたお客様1人1人に、丁寧に
「今日はお越しいただきありがとうございました。つまらないもので、お荷物になりますが、どうぞお持ち帰りください」
とご挨拶をされます。
足元は2階から店のサンダル履きで降りて来られていました。
すべてのお客様を送り出し、玄関の外では別の上司の方が、お見送りをされています。
ほっとしたかのようにお客様は荷物を取りに2階に上がられました。
しばらくしてあわてて降りて来られて、まだ、サンダル履きで、手には黒い靴が1足。
「誰かが私の靴をはいて帰られています」
あわてて店の者や、上司の方が送り出されたお客様を見渡しますが、影も形もありません。
素晴らしくあきらめの早いその方は
「サンダルをお借りします」
と言って、その靴を置いて、サンダル履きで帰られました。
靴を履いて帰ると二度手間になるのでというご配慮でした。
たまに靴を間違えることもあるのですが、こういったパターンは初めて。
たいていはお客様同士で違うものをはいて帰ったりするのですが。
気の毒な一日だったことでしょう。
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